そうだったのか!分かりやすいマスタリング解説
昨日の続きです。。。

【そうだったのか!】誰でも分かる!マスタリングとは。


ミックスが終了し、晴れて楽曲として完成した一曲一曲を、今度はアルバムという、複数以上の曲で構成された作品として聴く時に各曲との兼ね合いとか、繋がりとか、そういうバランスを調整して、最終的に、リスナーが聴くことになるCDに落とし込むのが、マスタリングです。

大筋この解釈であってるんだけど、実は本当はあってない所もある。

そもそもCDが登場する前、LP盤と呼ばれるレコードが主流だった時には、レコーディングされミックスされたマルチトラックのテープを、レコード盤に刻む(溝を掘る)作業の事が、マスタリングと呼ばれていた訳です。

マルチトラックのテープってのは、分りやすく言うとカセットテープみたいな磁気テープの巨大な奴に、レコーディングされた音が個別に入っているもの。

昨日ミックスで説明したとおり、歌や楽器が別々の形で記録できるテープ。それを、そのままでは一般のリスナーが聴く事が出来ないので、レコードというメディアに記録し直す…。

レコードってのは溝状に刻まれた情報をレコード針が読み取って、音楽として再生するメディアだから、言葉どおり、まさに皿の状態のレコード盤に溝を刻む作業の事をマスタリングと昔は呼んでいた訳です。




ミックスとマスタリングっていう作業の分業化は、かなり古くからあって、ミックスエンジニアというのはどちらかというとアーティスト的な感性やプロデューサーの様な役割も求められるんだけど、マスタリングエンジニアってのはもっと技術者というか、職人みたいなもの。

どうやって正確に、かつどんなプレイヤーでかけても問題ないような信頼性のあるマスターを作るかっていう仕事だから、同じレコードの制作過程の一環でありながら、全く違う職種だったわけです。




で、これがCDの時代になり、マルチトラックテープもPCのデータに置き換わった現代では、大分話が変わってくるのです。

とりあえず、前に書いた事は全部忘れて下さい(笑)。

現代におけるマスタリングという作業は、勿論レコードに溝を刻むことではないし、CDにデータを焼きこむ作業は機械がやるわけだから、人間の手が入る余地はない…しかし。

本来ないはずだったんだけれども、最終的な完成形をチェックして、フィニッシュする機能としてのマスタリングが今も残っていて、かつ凄く重要な役割を持っている。

さっきも言ったように、様々な場所で、様々な時に、様々な思いでもってレコーディングされた楽曲があって、それがまた何人かのエンジニアによってミックスされていたりすると、ただ並べただけでは統一感の無いものに
なってしまう。

そこで、各曲の音量を調整したり(本当に微妙~に)曲間の長さを調整したり、音域を整えたりして曲と曲に繋がりを持たせる。小さなノイズや、どんなスピーカーで再生しても問題がないかをチェックして、これを製品として世の中に出しても大丈夫、という最終チェック兼仕上げをするのが、マスタリングエンジニアと言えると思います。



同じ場所で、同じメンバーがレコーディングをし、ミックスをやった場合でもマスタリングは必ず、必要になってくる作業なんだよね。

どういう事かって言うと、マスタリングには単なる音の調整という役割を越えて客観的に作品をジャッジするという「製作段階での最後の耳」の機能がある。

実際にやってみないとなかなか伝わりにくいと思うんだけど、例えば何ヶ月もかけて取り組んだアルバムっていうのは、どんなに冷静でも100%客観視するっていうのは、作った本人は勿論関係者やスタッフでも難しいわけです。

良いものを創りたいと試行錯誤を繰り返した末に自分が考えるよさとか、聴いた人が感じる良さってのは曖昧になっていく。そこで、マスタリングが最後に客観を加えるわけ。

なんて書くと、めちゃくちゃ責任重大だよね(笑)。でも本当にそう。

その人の技術はもちろん、耳と感性にまで確かな信頼が無いとマスタリングって作業は頼めないし、頼まれにくいと思う。だからここだけの話、マスタリングエンジニアってのは偉い人が多い。

何故だかは明確じゃないけど、音楽製作のヒエラルキーの中ではトップに近いと思う。レコーディングやミックスのエンジニアが年とともに円熟して、出世してマスタリングに転向する事も少なくない。

逆に若い時にマスタリングから始めるエンジニアは、ほとんどいないかな…比べるような作業じゃないんだけどね、この二つは。

昨日も言ったけど、ミックスはホント針の穴を付くような、信じられないほど細かい作業をず~っとやって、楽曲を完成に向かわせる体力精神力ともにキツーい仕事なんだけれども(笑)、それに対してマスタリングは、基本的に半日で1アルバム仕上げる。

しかもマスタリングに取り掛かるアルバムは、大概その作業当日まで一切聴かない事が多い(俺の知ってる海外の人はみんなそう)。そうやって、客観性と自分の感性を保ち続けるわけね。

あと耳が命の職業だから、音楽自体を仕事以外ではほとんど聴かないって人も多い。スゲー世界なのですよ、マスタリングは。



マスタリングでCDのクオリティが全然変わる、という人がいる。

マスタリングしてもしなくても、出来が変わらないアルバムが一番優れているアルバムだって、マスタリングエンジニアは言う。

意味分るかな??

アーティストがレコーディングして作ったものが、何も変えることなくそのまま完成形であれば、マスタリングする必要がない。どこかで不完全だったり、不揃いだったり、あるいは手を加える事で新たな魅力が増していくから、マスタリングを最終的に施す。

こういう風に言うと、すごくネガティブな作業にも思われがちなんだけど実際のところ、マスタリングっていうのが作品をブラッシュアップさせる工程だと思っているミュージシャンやアーティストは、結構多い。

だけどそれは違う、と僕は向こうのマスタリングエンジニアから教わった。

何もしなくて問題が無ければ、それはレコーディングやミックスが完璧だったという事だから、アーティストならそこを目指したい。それでも「最後の耳」としてのマスタリングは、絶対に必要なんだけれどね。

だから僕は、自分の作品のマスタリングってのは絶対に出来ないと思っているし、それをやってみようと思うことも多分ない。

予算の都合で僕がミックスしたアルバムをマスタリングする事もあるけど…正直に言ってしまうともの凄いプレッシャーだし、それに見合える自分に(いつかは)なれないといけないと思う。




マスタリングって、こうやって全然上手く説明できなくらい奥が深いっす。。。どういう事をやっているかは概論的に説明出来ても実際にマスタリングという作業が何を目指して、どういう人達がやっているのか僕にも見えない所があります。

一ついえるのは、アルバムを作るなら必ずマスタリングはした方がいい。

で、絶対に自分じゃなく、あるいはバンドメンバーとかエンジニアみたいに一緒に作品を作り上げて来た人間でもない人に頼んだ方が、本当はいい。

僕は次はAdamさんかAlanさんにお願いしたい…でもGENEも凄いしなぁ(笑)。結構人気ある人は、仕事が集中してしまう職種なんですよね。

僕にマスタリングして欲しいという奇特かつチャレンジングな方は是非お声をかけてやって下さい。
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