生きている限り
生きている限りやり続けることといえば、「食べること」と「寝ること」だと思う。
これに加えて、「体を動かすこと」もほぼ同じくらい生命維持に必要なことだけど、こちらは病気になったり年老いたりすると難しくなってくる。
でもこの3つだけは、生きている以上、死ぬ直前くらいまではやり続ける必要がある。



僕の知り合いで、もう数年寝たきりのお爺さんがいる。
意識はあって、大病もしていないが、誰かの介護なしには起き上がることも難しく、日常生活をするためのほとんどの動作が自分一人では出来ない。
その状態でも特養や病院には入らず、介護士やヘルパーの方に自宅までほぼ毎日来てもらって生活している。生活というか、「なんとか生きている」という感じだ。
そんなお爺さんでも、毎朝起きて、ご飯を食べて、日中はベッドで寝たりテレビを見たりしながら、また夜ご飯を食べて、夜には寝る。
それ以外の活動は全く出来ないのだけれど、逆に言うとそれらの活動「だけ」はどんなにギリギリの状態でもやる必要がある、ということだ。
僕はお爺さんの家に見舞いに行くたびに、この状態になってもまだテレビは見るのかぁ…とやや暗鬱な気持ちになるが、まぁ見ているのか見ていないのかも本人以外よく分からないし、寝ていない時間はそれぐらいしかすることがないのだろう。本も自分で持てないし。



僕がこのお爺さんと出会った時からこの状態だったわけではもちろんなく、自分で普通に歩いて日常生活が出来て、快活に話し、笑い、元気に生きていた時をもちろん知っている。
それはそんなに大昔のことじゃなく、ほんの数年前だ。
一度大きな病気で入院してから、一度は元気になり退院したものの、段々身体が動かなくなり、運動や、日常生活の中の動作が自分一人では難しくなって、お医者さんや介護士の人の力を借りて生きるようになってから、さらに加速度的に症状が進んで、今の状態になってしまった。
一応言うと、お爺さんは決して治療の難しい難病にかかってしまったわけでなく、深刻な事故やケガを負ってしまったわけでもなく、普通に年老いただけだ。
確か90歳くらいだったと思うから、同年代で普通に元気な人もいる。亡くなった人ももちろんいる。
高齢であることは間違いないが、数年前まで元気だった頃を知っているだけに、今の状態を見るとなかなか思うところがある。




90歳以上まで生きるというのは、もう十分に平均寿命より長生きしているわけだし、自分一人で何でも出来て元気だった時にぽっくり死にたかった(?)、というのは本人も言っている。
身体が動かせない、というのは本当に辛いことだ。それでもまだ、食べることと寝ることは生きている以上どうにかやり続けないといけない。
今、健康な自分が毎日やっていることだって、食べることと寝ること以外は、いつかそのうちやらなくなる。そう思うと、ふと生きるとは一体なんだろうと考えてしまう。
いつか死ぬその間際まで、自分の意志で自分の身体を(全てじゃなくても)動かせるように、気を遣っておきたい。
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