激突、流血、それでもやりきった羽生選手に伝えたい3つのこと
昨日のフィギアスケート男子中国GP、たまたまテレビで生中継を見ることが出来てラッキーなんて思ってたら、大変なアンラッキーなことが起こってしまったのはご存知の通り。その後羽生選手が演技を終えるまでホントにハラハラしながらテレビの前で釘付けなっていたんだけれど、一夜明けてここでは正直な感想を書きます。

多くの人が感じたように、あのアクシデントの後で本当に演技をして良かったのか、身体への影響や後遺症は大丈夫なのか、という点から考えれば、僕は個人的には「絶対に棄権すべき」だと思いました。その後の演技を見て、何度も転倒しながらも最後までやりきった羽生選手の姿は「感動」とか「良く頑張った、偉い!」という言葉で語れるものではなく、とにかく一刻も早く棄権して病院に行って検査を受けるべきで、それを選ばなかった羽生選手、そして滑走することをOKしたコーチのオーサー、周りのスタッフに対しても「何故?」という思いしかなかった。

羽生選手本人は、あの状態でも「滑りたい、自分はやれる!」と思うだろうし、そうアピールするだろう。それを止めるのが周りのスタッフであって、大会運営の責任だ。あの状態で棄権せずに競技を続行したとして、誰にどんなメリットがあるのだろうか。デメリットはもちろん、羽生選手の怪我の状態、これからの後遺症の可能性、山ほどある。羽生選手が滑ることを「強行」したことで(敢えてこう言いたい)、同じく接触した閻涵選手も滑らざるを得なくなった。実際、エンカンの怪我はあの接触なら全然大したことはなく、精神的な動揺を除けば普通に滑れたと思うけど、それでも最初の判断どおり棄権するのが普通だ。どちらも若くて、将来のある素晴らしい選手なのだから。

羽生選手があそこで無理を押して演技することで、ひょっとすると4回転をバンバン決めて逆転優勝する、なんてことを考えていたとしたらそれも1位のロシアの選手に対して失礼な話だし、実際ほとんど演技になっていなかった。4分間、フラフラになりながら「滑っただけ」。これが美しいとか、偉いとか、感動するっていうのは個人的には大きな間違いだと思うし、スポーツに対する侮辱だと思う。誤解の無いように言うけど、羽生選手はあの状態でも「やれる!やりたい!」て言うと思うよ。それは他人が否定することじゃないし、感情的にも十分理解できる。でも、絶対ダメ。メリットがひとつもないもの。

仮に、これから羽生選手がスランプに入って、しばらく成績が振るわない状態が続いたとしたら、今回の件について間違いなくバッシングされるはずだ。あるいは、もっと最悪なのはこれが後遺症となって実際に彼の選手生命を脅かす可能性だってあるってこと。スポーツ中の接触による脳震盪は最も危ないケースの一つだし、ボクシングや格闘技は言うまでもなく、アメフトやラグビー、サッカーのようなコンタクトスポーツの場合でもそれは常識だ。選手同士がものすごいスピードでぶつかって、すぐに立ち上がれないほどのダメージを受けて流血、自力で歩けないほどにフラフラ、そんな状態で「棄権しないで続行」なんて、有り得ない。

最終的には、今回の滑走をOKしたオーサーがその責任を問われることになると思う。羽生選手の健康状態に何かあった場合はもちろん、何もなくたって絶対ダメだ。接触したあとすぐに救護班が来ないとか、介助者もなく自力でキスアンドクライまで歩かせるとか、既に言われているように大会運営としてもダメダメだった。危機管理、まさかの事態にどう対応するかがフィギア界は全然なってない、と批判されてもおかしくない。

もう一つ、これが前例となって「羽生があの時滑れたんだから」と考える他の選手やコーチが出てくる可能性もある。要するに「多少のアクシデントでは棄権出来ない」という思考が関係者の間で無意識に生まれるかもしれない。と、ここまで書いたように僕個人としてはデメリットばかりが思いつくし、フィギアスケートというスポーツに関わる人たちが「怪我」や「アクシデント」に対していかに未熟か、そんな失望を感じたのが正直な所だ。羽生選手のことは本当に好きだし、応援しているし、凄い男だと思うよ。だからこそ、残念な気持ちが今でも消えない。

あー書いてて涙出そうになってきた(泣)。
とにかく、怪我人が出てるし、世界大会の決勝とは思えないほど低レベルな演技が続いてしまった(そりゃ仕方ないんだけど)ことに対して、素晴らしい大会だったとか伝説として語り継がれるとか、美化して感動に結びつけようとするのはどうかと思うよ。テレビ局は視聴率上がって嬉しいのかもしれないけどさ。初優勝したロシアの選手の表情が今大会の後味の悪さを物語っていると思いました。今は羽生選手の身体の無事と、選手生命に影響がないことを心から祈っています。次はもう無理しちゃだめだよ、マジで。

ではまた。
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