「FireChat」香港のデモ参加者達が活用する新しい技術とは
昨日のblogの続きになるが、中国の共産党政府は香港の学生達が行っている大規模な抗議活動の様子を、インターネットを通じて中国国内の人々の間で広まらないように情報規制をかけている。TVや新聞といったマスメディアはもちろん、インターネット上の単語や画像まで削除することで、中国国内でこのニュースが広まらないように制限しているのだ。

これがいかに愚かで無意味なことかは昨日のblogでも触れたけれど、実際これまでも様々な「中国政府にとって不都合な」ニュースや出来事を彼らは権力で封じ込めようとしてきたし、1989年の天安門事件を良く知らない中国人が沢山いるという時日からしても、この情報規制がまだそれなりの効果を持っているのも現実だ。(それぐらい徹底的に規制しているのかもしれない)

こうした中国側の規制に対して、香港の抗議デモの当事者である学生達はスマートフォンのアプリを活用することで対抗しようとしている。そのアプリが「FireChat」だ。インターネットの回線をしようしなくても、アプリをインストールしている端末同士でテキストメッセージのやりとりが出来るこの新しい技術は「メッシュネットワーク」と呼ばれている。

香港のデモで大活躍、「FireChat」のメッシュネットワークとは?

記事にもある通り、携帯電話のネットワークが使えなくてもインストールした端末同士でテキストのやりとりが出来るこのアプリだが、本来は災害時や電波が入らないような場所で使うことを想定された技術だ。これはすなわち、中国政府が強制的にインターネット回線を遮断しても、このアプリを使って学生同士でコミュニケート出来ることを意味する。

メッセージのやりとりはBluetoothというデジタル機器用の近距離無線通信機能を使って行われるため、当然ちょっとでも離れたり途中にコンクリートの壁など遮蔽物があると使えなくなる。が、このアプリが凄いのはインストールされた別の端末を「中継局」としてその距離をどんどん伸ばせることにある。すなわち、端末同士の通信距離は短くても、その間に同じアプリをインストールした別のスマホ(を持っている人)が入れば、通信が出来るということ。これがメッシュネットワークの強みであり、香港の学生達の間で急速に活用されている理由の一つとなっている。

ネット接続なしでチャットできるアプリ「FireChat」はどれくらい離れても使用可能なのか試してみました

アプリを開発したのはサンフランシスコにあるITベンチャーのアメリカ人で、ほんの数週間前までは全く無名に近いアプリだった。それが現在では24時間で100万回以上ダウンロードされ、30万人近いユーザーがアクティブで現在使用していると言う。もちろん香港という局地的な場所だけで。これは驚異的な数字だ。

もっとも、このアプリのメッシュネットワークという技術はまだ完璧なものではなく、通信が不安定になったり、セキュリティにも多くの問題があると言う。開発者自身が、香港で抗議活動を行う学生達にこのアプリを活用することを推奨していない。Eメールや携帯同士の通話のように秘匿性が守られているものではなく、やりとりされるメッセージは全て無関係の他人が見ることの出来る「ネット回線を使わないTwitter」のようなオープンソースのため、そこでやり取りする情報は当然中国政府や香港の警察にも見られていると考えうるからだ。

ネットのいらないチャットアプリ「FireChat」、同社スタッフは利用は安全ではないと警告

まだ立ち上げたばかりの新しい技術ゆえに、こういう事は当然あると思う。それでも、中国政府を行う情報規制に対して香港の学生達が対抗手段を考えていることに僕はすごく共感を感じた。また、こういう新しい技術がそれに呼応する形でこれからもどんどん開発され、使われていくのかと思うと、人類の発展はまだまだこれから可能性があるなぁと思うことしかりである。

ではまた。
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